[論説]農村RMO研究会 休止 農村政策 後退させるな
農村RMOは農地保全や農業支援と併せ、買い物や通院支援、除雪など地域コミュニティー維持につながる活動を担う。同省は22年度、模範事例を支援するため、3年間で3000万円を上限として農村RMOに補助金を出す事業を創設し、同時に同研究会を設立した。同研究会はアドバイザーの助言の下、関係府省や機関と連携し、課題や方向性を議論、全国の農村RMOを支えてきた。24年度も2回開き、自治体や各府省、農家ら500人以上が参加するなど好評だったという。
ところが同省は同研究会だけ休止し、事例発表や基調講演が主であるフォーラムや自治体や農家らが知識を習得する中央研修会は継続する方針を示した。休止について同省は「地域ごとの推進体制が充実してきた」(農村振興局)ことを理由に挙げるが、疑問が残る。RMOの課題を深掘りし、アドバイザーが現場の実態を踏まえた上で今後の政策に生かす研究会と、フォーラムや研修会の性質は全く異なるからだ。
25年度は、初年度の22年度に採択された農村RMOの補助金が切れる時期に当たる。活動の継続へ、多くの農家らが頭を悩ませている。そもそも同省の農村RMO形成モデル事業は、活用する農家から「用途が限られ、使い勝手が悪い」「年度途中で急に予算が減額された」など課題が多く挙がっている。それだけに、同研究会を継続して議論をさらに深め、現場の課題をどう克服していくかという姿勢が求められていたはずだ。
同研究会は府省の枠を超えて地域づくりに関連する担当者が参加し、連携する役割も担ってきた。同省は「研究会をやめても各地域レベルで議論するため問題はない。各府省の担当者とは勉強会を重ねる」と説明する。だが、複数の有識者や農家からは「重要な時期になぜ休止なのか」「研修や推進フォーラムでは代替えはできない」との声が相次いでいる。こうした声に同省はどう応えるのか。
農村政策を巡っては、同省が来年度から中山間地域等直接支払いの集落機能強化加算を廃止する方針を示し、厳しい批判が続出している。別の施策ではあっても、同研究会まで休止とする姿勢は理解に苦しむ。このままでは農村政策の一層の後退が懸念される。同省は現場、外部からの意見を重視すべきだ。