北海道の各地では、旺盛な需要に着目し、数年前から産地化を目指す動きが活発だ。
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「10年前はお盆を過ぎたら涼しかったのにまだまだ暑い」。10月上旬、旭川市の7アールの畑でサツマイモを栽培する、千代圭さん(55)が収穫準備を進めながら汗を拭う。9月下旬から始まった収穫では、大きなサツマイモを次々と掘り起こしていた。
千代さんの畑では、ねっとり系で人気の「シルクスイート」や「べにはるか」を主に栽培している。農研機構が冷涼地向けに育成した「ゆきこまち」も作付けする。今年は約20トンの収量を見込む。
サツマイモは関東や九州地方が主な産地。近年、地球温暖化の影響で道内でも栽培に必要な積算温度が確保できるようになった。加えて寒暖差があり、甘味を引き出すのに適し、害虫が雪で越冬することができないため、病気のリスクが小さいなど利点が多い。
JAあさひかわでは2022年から本格的に栽培を始めた。作付面積を年々増やし、現在は26人の農家が3・5ヘクタールで栽培。今年度は80トンの収量を見込む。JAでは将来的に、30ヘクタールを目指している。
管内のサツマイモ農家の多くが水稲も合わせて栽培する。収穫時期や定植時期が他の作物の作業と重なりにくく、育てやすいことも面積が広がる理由になっているという。JAサツマイモ部会の鷲尾勲会長は「輪作作物の一つとして水稲や麦、大豆などと組み合わせたい」と意気込む。
(山田凌)