今日は「いい推しの日」--。お気に入りのアイドルやキャラクターなどを応援する「推し活」人口は、今や1000万人とも推測され、年々増えている。その活況ぶりは、一見、無縁そうな農林産物にまで及んでいる。(鴻田寛之、菅原裕美)
花で彩る
推し活を華やかに彩ってほしいと大手生花チェーンの日比谷花壇(東京都港区)は、キャラクターなどのイメージカラーに着目したバルーン付きのバースデーブーケを販売する。ブーケはアーティフィシャルフラワーと生花の2種類。アクリルスタンドと一緒に飾れるサイズ感や、多色展開がヒットし、一部のカラーは完売するなど好調な売れ行きだ。
開発を担当した同社の横山哲大さんは「家族や友人以外にも多様な誕生日の祝い方があると気づいたことがきっかけ」と語る。
同社では4日から交流サイト(SNS)でのキャンペーンを展開し、いい推しの日を盛り上げる。
チュロスでかたどる
近年、推し活女子の心を射止めているのが、推しの名前などを菓子のチュロスで表現する「推しチュロス」だ。原料に国産米粉を100%使用し、国産の米油で揚げた。提供するの福岡市や東京に店舗を構えるチュロス専門店「DANNY CHURROS」。ザクッとしてもちもちした食感で、フレーバーは9種類から選べる。
ひらがなや漢字などはもちろん、韓国語やタイ語にも対応。推しの名前の他、インバウンド(訪日外国人)が自分の名前を注文することもあるという。
同店を展開するMATANICA合同会社(福岡市)の長谷川友紀代表は「地産地消につなげたいと米粉を選んだ」と話す。
神棚に祭る
仏壇や仏具などを販売するはせがわは、国産ヒノキでできた「推し壇」を2023年に発売した。オンラインショップで継続的に売れる人気商品だ。
神棚と同じ技法で作った厳かな見た目で、推しの写真が入ったアクリルスタンドや人形などを飾れる。20色に変色可能な発光ダイオード(LED)を搭載し、「推し色」でのライトアップもできる。購入者は主に20~40代で、男性がやや多いという。
同社広報の石田あかりさん(33)は「推しに手を合わせることで、心豊かに前向きになれる」と薦める。価格は9900円。
推し活に関連する現代人の消費行動を調査・研究する「推し活総研」が行ったアンケート調査によると、「推し活をしている」と回答した人は14・1%だった。日本人口に換算すると推し活総人口は約1000万人以上に上る。特に10代後半女性では2人に1人が行っているという。