栽培が終わったトマトの枝を片付ける作業は、農家にとって負担が大きい。この労力を少しでも軽減しようと、広島県庄原市の前田賢治さん(51)は、倒した枝を集めるシート巻き取り機を考案した。後片付けの時間は、今までの9割ほど短縮できた。重い枝を運ぶ必要がなくなり、労力軽減につながった。
前田さんは、ベルトコンベヤーやマルチ回収機からヒントを得た。耕運機と鉄の廃材を利用。地元企業の協力で作った幅140センチ、奥行き80センチ、高さ50センチの鉄製のフレームの外側に耕運機を設置。同機のタイヤを回す軸にメインシャフト(芯棒)をつなげて防草シートを巻き取れるようにした。この機械の機動性を高めながら安定感を持たせるために、フレーム下に2本のタイヤと鉄製の柱を取り付けた。長さ50メートル、幅1メートルの防草シート8枚(ハウス2棟分)をメインシャフトに巻きつけている。
前田さんは2015年就農。現在、ハウス9棟約22アールでミニトマト「アンジェレ」を栽培。11月上旬まで続く収穫が終わると、枝などの後片付けに入る。
ハウス内の畝間に、巻き取り機に備え付けた防草シートを手作業で敷き、トマトの枝を倒していく。それらをシートに巻き取り1カ所に集めて、軽トラの荷台に移して処分する。
片付けは、ハウス9棟で3週間かかったが、2日間で終わるようになった。「以前、アルバイト6人でトマトの枝を通路に運び出していたが、疲れ切っていた。この機械を使うことで1、2人で運び出すことが出来て、本当に楽になった」と前田さんは話す。
栽培期間中は防草シートを敷いて、取った脇芽や落とした下葉を回収するのに使っている。
材料費は、シャフト部分に使ったユニットベアリング代の2万5000円ほど。この他、使わなくなった耕運機や鉄の廃材などを利用した。
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