
米の出荷量が全国屈指のJA新潟かがやきで、育苗作業が進んでいる。田植えが本格化する大型連休に向け、約1カ月かけて育てる。
JAは、農家約100戸から育苗箱約9万2000枚を受注。今年は3月31日から、新潟市西蒲区の潟東アグリセンターで苗作りを始めた。十数センチまで育て、5月1日以降に農家へ引き渡す。

苗箱は、長辺60センチ、短辺30センチ、深さ3センチ。播種(はしゅ)機はものの数秒で、床土を入れ、わずかに芽を出させた種もみをまき、いもち病などを予防する薬剤を散布して土をかぶせる。この状態で1枚の重さは約5キロになる。2022年に導入した苗箱自動段積み装置が、20枚1セットで軽々運ぶ。この機械により、1時間当たり2000枚に播種できる。1日当たり約8000枚を仕上げる。
播種後、室温30度に設定された「出芽室」に2日間入れ、5ミリから1センチまで芽を出す。その後はビニールハウスに移し、透過率8割の資材で被覆。最初は太陽が当たらない方が苗が成長するためだ。シートをめくると、白い“赤ちゃん”苗の先に水滴が輝いていた。

職員の高橋裕貴さん(40)らは、約15人態勢で苗作りに専念する。播種する種もみの品種が替わるごとに、播種機を丁寧に清掃。採種田の苗もあるため、徹底して混入を防いでいる。
1日の作業が終わると、播種機や装置の清掃だ。センサーやチェーンに飛び散った泥を拭き取り、潤滑剤を吹き付ける。いずれも手の届きにくい場所だが、顔を泥まみれにして入念に手入れする。職員の星野達彦さん(24)は「機械がさびたり、不具合を起こしたりしないように、日々の積み重ね。30分遅れると1000枚違ってくる」と話す。

高橋さんは「『苗半作』の言葉があるが、注文した農家に良質な苗を提供したい。その苗で高品質な新潟米を生産してもらいたい」と、苗づくりへの思いを語った。
(鴻田寛之)



