
宮城全共では、優れた雌牛系統の発掘と再構築を狙いとする第4区「系統雌牛群」で名誉賞を獲得した。今大会も各区で雌牛の系統要件を設け、雌牛系統の層の厚さを生かす戦略だ。
中でも、5区「高等登録群」は、母・娘・孫娘の3頭1組で出品し、3世代にわたる改良の成果を競う区で、雌牛系統の底力が試される。ベテラン農家でも牛をそろえることが難しい同区だが、県予選では史上最多の4組がしのぎを削った。
同区で代表の座をつかんだ玖珠町の宿利英治さん(77)は過去2大会に出場したが、同区は初挑戦だ。宮城全共に出品した牛の母「ひさとみ5」を筆頭に3頭をそろえた。
「ひさとみ5」は11歳を超えてなお1年1産を続け、驚異的な繁殖能力を保つ。一方で課題だった増体は娘、孫娘と代を重ねて改良してきた。
宿利さんは19年2月、牛舎での事故で左足の靱帯(じんたい)の3分の2を切断。初めて、牛飼いを辞めることが頭をよぎったが、「もう一度全共へ挑みたい」とリハビリを続け、牛を毎日2万歩以上引き運動するまでに回復した。「牛飼いは一生の仕事。命を懸けて没頭できるものは貴重だと思う」と宿利さん。今日も本番に向けて手綱を握る。
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