
県は全国から農家が買い付けに訪れる子牛産地だ。ただ、取引頭数の7割は離島部の6市場が占める。全共出品も、飼養頭数が多い離島部が中心で、県共進会で優秀な成績を収めた本島の農家も全共出品は果たせていなかった。
「宮城(全共)で牛を見て鳥肌が立った。自分もここに立ちたいという思いが強くなった」。
第3区(若雌の2)の代表に決まった糸満市の山城義光さん(42)は話す。前々回の長崎全共から3度目の挑戦で代表を手にした。
出品牛「ふくなみみ」は県有種雄牛「福福波」と優秀な雌牛から受精卵を作製し、誕生した。数頭いた候補牛の中でも体上線と体下線が平直で、骨締まり良好。輸送を経た会場入り後のストレスや変化を見越し「厳し過ぎず、優し過ぎず」をモットーに調教する。
初出品に地域ぐるみで後押しする。同市和牛改良組合の若手農家で構成する「若牛会」やJA南部地区畜産振興センターの職員が、マニュアルを基に山城さんの牛洗いや調教をサポート。本番も「若牛会」の農家2人が付き添うなど、ノウハウの継承に力を注ぐ。
山城さんは「本番までに、とにかく牛の体調管理を徹底する。序列決定で最前列に並ぶことが目標」と期待に胸を膨らませている。
(おわり)
(この企画は岩瀬繁信、柴田真希都、三宅映未が担当しました)