[九州・新時代に挑む 夢の舞台へ 鹿児島全共](3)長崎県 脂肪の質評価群に注力[動画付き]
長崎県は、今大会で新設された肉牛の部7区(脂肪の質評価群)に注力する。和牛のおいしさの新たな評価軸と期待される半面、最も対策が難しいとされる出品区で「長崎和牛」の飛躍を期す。
同区の審査で鍵を握るのが、肉の口溶けが良くなるとされる一価不飽和脂肪酸(MUFA)含有率の高さだ。県は、脂肪の質が審査項目に加わった2012年の長崎全共の頃から、県内で枝肉のMUFAデータ収集を始め、生産者に公開。意識されにくい脂肪の質の可視化に取り組んできた。
さらに、同区の代表牛には、県有種雄牛の中でMUFA育種価がトップ級の「勝乃幸」の産子3頭を当てた。
大村市の井上義見さん(74)が飼養する代表牛「幸晴平」は、そのうちの1頭だ。ただ、導入時は太り気味で、肥育期に伸び悩む不安から全共用に入札した4頭のうち最後に選んだ子牛だった。
県の飼養マニュアルに沿って、脂肪の質を改善するとされるライスオイル(米油)を混ぜた飼料を給与。餌を食べる力があり、順調に大きくなった。
代表入りの決め手を聞くと「牛が加勢してくれたから」と「幸晴平」と繁殖農家への感謝を口にする井上さん。牛飼い歴50年にして初出場の全共に挑む。
県は前々回、長崎全共肉牛の部で最高賞に当たる名誉賞を獲得したが、前回、宮城全共では同賞を逃した。
地元のJAながさき県央畜産部の堤章部長は「畜産業界が厳しい状況なので、ぜひ名誉賞を奪還し、若手の目標となり地域を活気づけてほしい」と期待を寄せる。
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