[今、どうしていますか? 能登半島地震]シイタケ農家 石川県能登町 上野誠治さん(45)
1回目の揺れで外へ飛び出した。2回目の揺れで向かいの山が崩れ、民家がつぶされたのを見た。その日から約2週間は、仕事より「毎日をどう暮らしていくか」だった。
ハウス8棟で菌床シイタケを栽培し、1日平均200キロ、年間で約70トンを出荷していた。2020年には菌床シイタケの品評会で日本一になった。
地震でハウスのパイプ棚は軒並み倒れ、シイタケの菌床ブロックは床に散乱した。それでもシイタケを収穫し、集会所や老人ホームへ持って行った。少しでも食べられる人に食べてほしかった。
2月の2週目から少しずつ市場へ出荷を再開したが、配送コストが重荷になっている。
災害の後は収穫できる量が安定しない。出荷量が少ないと、配送コストが割高になってしまう。需要があっても、出荷すると損をするだけ。でも置いておくわけにもいかない。助成があれば、少なくても鮮度の良い物を出荷できる。そんなジレンマがある。