30年前から校庭の畑で全校児童がダイコンを有機栽培している神奈川県川崎市の南河原小学校で17日、収穫したダイコンを使ったポトフが給食に登場した。2023年は秋の生育期に猛暑が続き、アブラムシが大量発生して全滅したが、24年は播種(はしゅ)を1カ月遅らせるなど、児童と教諭の協働と工夫で豊作を実現した。

「見てみて、こんなに大きい」「めっちゃ太いね」。16日朝、運動場前の畑で6年生が2年ぶりの収穫に歓声を挙げた。塚原翔空さんが「1年生から6年生まで全校みんなで大切に育てたから」と満面の笑みを浮かべた。
23年は初めて収穫できなかった。24年も播種期の9月に記録的な猛暑が続いたことから、熱中症への懸念などから10月上旬に延期した。それでもアブラムシが湧いたわいたため、冬休み前に被害の大きい株を間引き、広がるのを防いだ。すると、ダイコンはぐんぐん育ち、1月初旬には重さ1~1・5キロを中心に600本ほどが取れた。
献立は、食育委員会が全校児童460人にアンケートし、ポトフに決定した。同委員会の児童が「南小そだちの大根入り心ぽかぽかポトフ」と名づけた。
同校で取れたダイコンは「タテワリダイコン」と呼ばれる。その理由を食育委員長の6年、高橋玲哉さんが「全学年を縦割りにした班を作り、毎年みんなで大切に育てているから」と教えてくれた。
「甘~い」「ふわふわだ」「口の中でとろける」「心もあったまる」。17日、給食の時間。じっくり煮込まれたダイコンに舌鼓を打つ声が響いた。6年生の教室では、米田彩希さんが「柔らかい」と目を丸くし、「6年間で一番おいしい」。
全校児童が校内で給食用の野菜を育てるのは全国的に珍しい。宝谷拓之校長は「保護者から、ダイコン嫌いの子が『自分たちで育てたから』と食べるようになったと聞く。高学年は低学年の世話をし、低学年は高学年から学ぶ。タテワリダイコンが子どもたちを育てている」と言った。
給食に使われたダイコンは約20本。残りは全校児童が1~2本ずつ持ち帰ることになった。自宅ではどんなふうに食べたかな?
(栗田慎一)