山梨県富士河口湖町のおおさわ園は、地元に拠点を置く女子サッカーチーム「FCふじざくら山梨」の選手と一緒にトウモロコシや桃を生産・販売し、地域活性化に貢献している。地域住民やチームのサポーターが同園の農産物を購入するきっかけをつくり、農業とサッカーのファンの獲得につなげている。
FCふじざくら山梨は、2018年11月に設立された女子サッカーチーム。23年から、一般社団法人日本女子サッカーリーグが運営する「なでしこリーグ2部」に所属する。
同園代表の大澤武さん(41)が「この地域の農業を多くの人に知ってほしい」とコラボを打診し、20年5月に「FCふじざくらファーム」が始動した。
同園の圃場(ほじょう)の一部を借り、チームの農業部に参加する選手6人ほどが、2週間に1度のペースでトウモロコシ10アール、桃の木2本などの栽培管理に携わる。収穫などのイベントには、選手全員が駆け付ける。
同町を含む富士北麓地域は冷涼な気候が特徴。昼間に光合成で貯めた糖分が夜間に消費されにくいため、この地域のトウモロコシは糖度が高いという。
収穫した農産物はチームのオンラインサイトで販売し、トウモロコシ50箱(1箱6本入り)が1週間で完売した年もある。チームの五十嵐雅彦ゼネラルマネージャーは「農業を通じてファンを獲得できている」と話す。
今年から、引退した選手が同園でレタスやブロッコリーの栽培を始め、地元スーパーの地産地消コーナーに商品が並ぶなど、活動の幅も広がってきた。
「魅力的な農産物があるのに、消費者に知られていなかったから価格が安かった」と大澤さん。「地元で認知が広がり、高付加価値化につながっている」と手応えを語る。
(岸康佑)