日本農業新聞主催の「第49回読者の写真コンテスト」の年度賞が決まりました。
課題写真の部最高位、農水大臣賞には、岩手県奥州市の達下才子さんの「脱穀日和」、ニュース写真の部最高位の日本農業新聞賞には、岡山県赤磐市の川末義晃さんの「環水平アークに見守られ」が選ばれました。
応募数は課題写真の部に657点、ニュース写真の部に288点の計945点でした。年度賞の受賞者と作品を紹介します。
課題写真の部
テーマ「ふるさとの四季」

「脱穀日和」
達下才子
岩手県奥州市

このたびの受賞は、ずっと憧れていた賞で、喜びでいっぱいです。連絡をいただいた時には、思わず電話口で聞き返してしまいました。本当にうれしい瞬間でした。ありがとうございました。
受賞した写真は、夫や娘たちと脱穀しに行った時に撮影しました。毎年、1人暮らしの母の農作業の手伝いに、家族全員で出かけているのですが、9月に母が急逝し、寂しい脱穀作業でした。孫たちは運搬車の上がお気に入りで、その姿がほほ笑ましく、何度もシャッターを押しました。その中の1枚がこのような大きな賞に選ばれ、家族にとって最高の喜びです。
2014年6月からコンテストに応募し始め、毎月欠かさず応募してきました。奥州市江刺は、「江刺金札米」、「江刺りんご」が有名で、私の家の周りにも田んぼとリンゴ畑があります。車の助手席には、カメラが常にあり、通勤時などは季節の変化や日々の作業を眺めています。今後も、楽しみながら撮影を続け、引き続き応募していきたいと思います。
「害獣対策」
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石山正昭
愛媛県今治市
「乾燥いもの取入れ」
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齊藤重利
埼玉県熊谷市
「親子で電車ごっこ」
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陶山徳三
神奈川県川崎市
「初めてのサクランボ」
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浅黄健一
山形県河北町
「昼上がり」
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五十嵐信一
秋田県横手市
「朝靄立つ梅林」
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櫻井勝美
群馬県高崎市
「暑かね~」
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﨑水﨑洋海
福岡県糸島市
「がんばれ!」
川末義晃
岡山県赤磐市
ニュース写真の部

「環水平アークに見守られ」
川末義晃
岡山県赤磐市

友人から、早朝に連絡があり、受賞を知りました。その友人というのが、写真の中で苗箱を抱え白い歯を見せている人物です。
「おっ、変わった虹が出ているぞ!みんな楽しそうな顔で作業して!」と叫んで撮影していたものの、楽しい農業なんて理想であって、世の中そんなに甘いものでありません。
自然が相手の農業ですから寒い日もあれば暑い日もあり、天候や自然現象により豊作不作も神のみぞ知る世界だと元JA職員のその友人から教わりました。
それでも、繁忙期に声を掛け、集まってくれた友人たちと作業をしながらの他愛(たわい)のない会話が疲れを忘れさせてくれ、明日へのエネルギーになっているように感じます。
今後も農作業や農村風景から、ホッとしてクスッと笑えるような被写体を見つけ、厳しいけれど楽しみや喜びもある農業の一面を少しでも発信できればと思っています。
このたびは、栄えある日本農業新聞賞の受賞、誠に光栄です。ありがとうございました。
「八ケ岳に雨氷」
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日高憲三
長野県富士見町
「水田の害虫防除係」
新谷雅敏
京都市
課題写真の部は、「ふるさとの四季」がテーマ。日常の農作業や、四季を感じる農村風景を切り取った作品が集まりました。昨年5月の新型コロナウイルスの5類移行により、再開した農村行事などを写した作品も増えました。これまでマスクで隠れていた表情が見えるようになったのも大きな特徴です。
最高位の農林水産大臣賞に輝いた「脱穀日和」は、秋の農村が色合い良く描かれています。黄金色のはざかけや、運搬車の上でおやつを食べる子どもなど、物語を感じる要素が1枚に詰め込まれ、のどかな農村絵巻を表現しています。
ニュース写真の部は、珍しい気象現象や災害、外来生物など、農村の変化に目を凝らした作品が多く寄せられました。最高位の日本農業新聞賞に輝いたのは「環水平アークに見守られ」です。光の帯が空に浮かび上がる珍しい気象現象と、ひたすら農作業に没頭する人たちの姿が対照的で、作品へと昇華させた技術に評価が集まりました。