国内最大規模のミニトマト施設 5ヘクタールで通年出荷 茨城県常総市・たねまき常総(動画あり)
施設を運営するのは、ソフトバンクのグループ会社「たねまき」が出資する「たねまき常総」。農業の6次産業化の拠点となる産業団地をつくる、同市の「アグリサイエンスバレー構想」の一環で整備した。
ハウスは約4ヘクタールと約1ヘクタールの2棟あり、5月から出荷を始めた。4ヘクタールのハウスは内部を四つに区切り、作型を分けられる。今年は計4作型で栽培し、通年で出荷する。同社は「複数産地のリレー出荷では品質や味、価格がばらつくという声がスーパーなどにある」と指摘。1施設での通年供給でこうした課題を解決したいという。
ハウスは軒高6メートルで採光性が高い。ヤシ殻培地の養液栽培で、二酸化炭素(CO₂)濃度や気温、湿度などを制御するシステムも導入。年間を通じて生育に最適な環境を整え、10アール当たり収量は30トン弱を見込む。茨城県農業総合センターによると、県内でハウスで長期収穫する作型の収量は同10~15トンという。
出荷先は首都圏のスーパーが中心で、ハウスには出荷設備も備える。日量最大5トンを選果し、パック詰めや箱詰めまで行う。社員約20人の他、地域の20~70代の約160人をパートで雇用。パートはほとんどが農業の未経験者だが、動画などで作業を分かりやすく説明しているという。
たねまき常総の前田亮斗社長は「販売時点情報管理(POS)データと環境制御を組み合わせれば、より需要に応じた出荷ができる」と話す。各地の農家からの集出荷も検討。たねまきは、今後10年で同様の生産拠点を県内外に10カ所整備することを目指しているという。