~作業効率×品質向上!障害者雇用で広がる持続可能な養蚕に向けて~
総合人材サービスのパーソルグループで障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルダイバース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:渡部 広和、以下パーソルダイバース)が運営する「とみおか繭工房」は、2025年6月16日、障害のある社員が生産した302キロの繭を今年度、初出荷したことをお知らせします。
富岡市内で生産された繭は、一般社団法人富岡シルク推進機構(群馬県富岡市)の厳正な品質検査を受け、純国産の高品質な富岡シルクとして活用されています。

■とみおか繭工房の概要
「富岡製糸場のある街」群馬県富岡市では高齢化が進み、市内の養蚕農家はわずか8戸にとどまるなど、担い手不足が課題となっています※1。こうした地域課題の解決と、障害のある方々の新たな就労機会の創出を目的に、2017年、群馬県富岡市に「とみおか繭工房」を開設しました。工房では蚕の飼育や繭の生産をはじめ、市内の耕作放棄地を借り受けて3ha超の桑園を管理するなど、養蚕に関わる一連の作業を障害のある社員が担っています。
また、2022年には市内2拠点目として、富岡製糸場の最寄り上州富岡駅前に「Merci Cocon & Cafe」(メルシー・ココン アンド カフェ)をオープン。カフェでのキッチンやホール業務に加え、社員が制作したシルク製品を併設ショップで販売しています。
2025年6月現在、障害のある社員79名が活動中です。
※1 出典:一般社団法人富岡シルク推進機構(https://www.tomioka-silkbrand.jp/)
■障害のある社員が担える仕組みで、良質な繭を安定生産
とみおか繭工房では、1回あたり約18万頭の蚕を飼育しています※2。蚕の成育に差が出ると繭の品質に影響するため、蚕をグループに分けて重量を計測し、必要な桑の葉の量を算出。経験や知識のない社員でも適切に作業ができるよう、桑が均等に行き渡る仕組みを整えました。
生産された繭は、障害のある社員が一つひとつ目視で選別。小さな繭や汚れた繭、2頭の蚕が一緒に作った玉繭(たままゆ)などを丁寧に取り除き、良質な繭のみを出荷しています。
こうした取り組みによりJAから「安定した品質」と高い評価を得ています。
なお、生糸に適さない繭は、当社「きりゅうアート工房」(群馬県桐生市)で成分を抽出し、シルク化粧品の原料として活用しています。
※2 蚕は1頭、2頭と数えます
■真夏の作業負担を軽減 「自走式草刈機」初導入
蚕は桑の葉を食べて育つため、桑園では除草剤が使用できません。これまで手作業で行っていた除草作業について、作業効率の向上と、炎天下での負担軽減を目的に、今年度から「ハンマーナイフモア(自走式草刈機)」を新たに導入しました。
この機械は自走式かつ、刃に触れる危険性が低いことから、多くの社員が機械の操作にも携われます。

この取り組みによって、除草作業の効率は格段に向上。桑園がこれまで以上に綺麗になるだけでなく雑草が栄養を奪うことも防げるため、より良質な桑の育成環境が整い、繭の品質向上にもつながることが期待されています。
作業効率と安全性の向上を図ることで、無理のない作業環境を実現し、持続可能な養蚕を進めています。
“はたらく社員の声”
「最初は操作が不安でしたが、教えてもらいながら少しずつできるようになりました。桑園がきれいになっていくのは、とても気持ちがいいです。」
「草刈りが効率よく早くできるようになって、体も楽になりました。」
■年間2,700キロ、廃棄予定の桑枝を和紙にアップサイクル
養蚕業務では、蚕に桑の葉を与え、年間で約1トンの繭を生産しています。その過程で、冬には不要な枝を剪定し、春に向けて新芽の準備を行います。このため、年間およそ2,700キロもの桑枝が廃棄されており、開設当初からの課題となっていました。これらの桑枝を有効活用するため、障害のある社員が手漉き桑和紙しおりを制作しました。
その取り組みが評価され、「2024年度(第65回)全国推奨観光土産品審査会」(主催:日本商工会議所<東京都千代田区>および全国観光土産品連盟<東京都千代田区>)において、「在東京ブータン名誉総領事館賞」を受賞しました。
とみおか繭工房では、今後も障害のある社員が安心してはたらき、力を発揮できる環境づくりを進めるとともに、高品質な繭の生産を通じて、地元の伝統産業への貢献をさらに強化してまいります。
■富岡シルクブランドについて
富岡市内で生産された繭はすべて、一般社団法人富岡シルク推進機構の厳正な品質検査を受けています。その後、碓氷製糸株式会社(群馬県安中市)で、日本最新鋭の世界最高ランク「6A」繰糸機で生糸に加工。純国産の高品質な富岡シルクは、生産履歴が明確で作り手のこだわりや安心・安全への配慮が行き届いた製品として活用されています。■パーソルダイバースについて<https://persol-diverse.co.jp/>
パーソルグループの特例子会社として、「障害者雇用を成功させる。そして、その先へ。」をミッションに、障害者の多様なはたらき方とはたらく可能性の創出に取り組んでいます。グループ内外の企業や地域と連携した多様な業務受託サービスを展開するほか、国内最大級の求人・登録者数を持つ障害者のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」、就労移行支援事業所「ミラトレ」「Neuro Dive」の運営や、企業の雇用課題を支援する「障害者の人材紹介」「障害者雇用コンサルティング」などのサービスを提供しています。
■「PERSOL(パーソル)」について<https://www.persol-group.co.jp/>
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げるこ とで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。 さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ