柿80アールとスプレイ菊20アールを栽培する田口さん。柿園の防除では、薬液を入れたタンクと動噴を軽トラの荷台に積み、農地まで移動して、散布する。
薬液作りの第1段階がタンクへの給水だ。改良前はタンク上部に開いた口にホースを入れていた。蛇口を開けてから荷台に上り、ホースが水の反動で飛び出ないよう手で押さえるなどしていた。こうした手間がかからないよう、上部の口とは別にタンクに設けられた穴にホースを接合し、給水できるようにした。
次の段階がタンクへの薬剤の投入。以前は荷台に上りタンク上部の口から投入していたが、現在は、動噴を活用する。バケツに薬剤と水を入れ、攪拌しておく。それを動噴の吸入口につないだホースで吸い上げる。動噴の余水口につないだホースはタンクに接合しており、動噴を稼働させれば薬剤が投入できる。
最終段階がタンク内の薬液の攪拌だ。動噴の吸入口と吐出口を、それぞれホースでタンクとつなぎ、薬液を循環させて攪拌する。吐出口から伸びるホースはタンク上部から出た塩ビ管につなぐ。塩ビ管はタンク内の底をはうように伸びており、出口となる穴を二つ設けることでタンク内に水流が生まれる仕組みにしている。加えて、散布中は、タンク内に設けたプロペラ式の攪拌機を回す。
かつては、荷台の上は足の踏み場も限られぬれる場合もあり、滑り落ちる危険性も感じていた田口さん。「けがをしたら経営そのものが立ち行かなくなる」との思いで、対策を模索した。改良に必要な資材は1万円以内で済む。


農家の必需品ともいえる軽トラ。自らのアイデアで、活用の幅を広げている農家を紹介する。