荷台に積んだ収穫物や農機具などを雨や雪から避けるためシートをかぶせていたが、ゴムひもを荷台のフックにかけてシートを固定するなどの作業が手間だった。シートをかけていると、荷物の取り出しや掃除もしにくかった。そこで、荷台に屋根を付けようと思い付いた。製作費用は約3万円。完成から3年ほどたつが、問題なく使えている。
軽量で太陽光などによる劣化に強いグラスウールの板で、荷台全体を覆う屋根を作った。板には繊維強化プラスチック(FRP)も塗り付けて強度を高めた。それをワイヤでつり下げ、電動ウインチで引っ張り上げる仕組みだ。スイッチを押すと10秒ほどで荷台にかぶさった状態から車の天井の高さに上がる。
鉄製の柱を溶接するなどして昇降部の機構を自作し、荷台の前方(乗車部分の背面)に設けた。屋根はその機構と2本のボルトで固定されており、それを抜けば5分ほどで取り外せる。
屋根を上げた状態の時に安定させるため、荷台後方の左右両端に鉄製の柱を立てられるようにしている。柱は荷台に接合しており、使用時だけ起き上がらせる。ねじを締めて柱と屋根をつなげて、固定する仕組みだ。
屋根を下げている時も、荷台前方は軽トラと屋根の間に隙間があり、雨水が入り込んでしまう。そのため、荷台の底にゴムシートで仕切りを設けて、雨水が荷台後方に流れ込まないようにしている。
白色の屋根の上面には、翼を広げたカワセミの姿がペンキで描かれている。福澤さんの妻・明美さん(71)が趣味の油絵を生かして描いた。明美さんは「(隆行さんは)あまり褒めない人だけど、この絵は珍しく褒めてくれた」と笑う。


農家の必需品ともいえる軽トラ。自らのアイデアで、活用の幅を広げている農家を紹介する。