白井さんは約30アールで「宮川早生」「大津4号」「青島温州」など4品種180本のミカンを栽培。11月下旬から12月下旬は収穫作業に追われる。収穫と荷造りの繁忙期には、白井さん夫妻、父母、親戚が総出で作業に当たる。
以前の選果作業では、1トンのサイズ分けに約1日を要していた。梅の選果機に目を付け、メーカーから取り寄せたドラムを使ったところ、1時間程度で選果できるようになった。併せて、ミカンをレジ袋状の袋に小分けする荷造り作業も能率を上げようと、手製の器具を製作した。
コンテナの台座には、梨園で使い古した集荷用の手押し車からタイヤを取り外し、パイプの部分を活用した。パイプの上に折り畳み式のコンテナを載せ、台座のパイプとコンテナの間に3センチほどの角材を挟んで傾斜を調整する。傾斜の下側になるコンテナ側面は縦12センチ、横22センチの長方形にくり抜く。
パイプのL字の部分に袋の取っ手を掛け、詰める分量のミカンをコンテナから流し込めば、力も要らず短時間で袋詰めできる。アルミパイプ製の台座とプラスチックのコンテナだけなので、軽量で持ち運びも楽だ。

白井さんは「ミカン狩りの目的は、地域の人に楽しんでもらいながら農業理解を図ることと、収穫作業の省力化もある」と説明する。一方で、来園できない消費者への販路として出荷や自家販売は欠かせない。時間と人手が限られる中で、確かな荷造りに手製袋詰め器を活用している。