近年、高温の影響により全国各地で果実の着色不良が発生している。山口県産業技術センターが行った生産者への聞き取り調査などによると、着色不良の果実が全体のうち2、3割発生するという。
装置は農研機構、東京大学、同センターの共同研究を基に、宇部興機が21年に製品化。適切な温度と青色のLED光を果実に当てることで着色能力を引き出し、着色を進める。
同センターなどが16~20年度に行った実証試験では、リンゴとブドウで着色改善を確認した。ただ、糖度が低い未着色の果実では効果がなかった。
リンゴ「ふじ」「シナノスイート」などでは、糖度13以上の果実に5日間照射すると着色効果を確認。5日以上照射すると果実が柔らかくなる可能性があるという。
ブドウは、赤系の「クイーンニーナ」「安芸クイーン」で改善効果が見られた。粒売りを想定し、包装資材に果粒を入れ、15~20度で7日間照射する。
同センターは、アントシアニンを含むマンゴー、桃、果菜類のナス、カラーピーマンで着色改善の効果があるとみる。

箱型の装置は、幅44・5センチ×奥行き35・5センチ×高さ14・8センチ。装置内は三つの部屋に分かれ、リンゴだと12~15個、ブドウだと15袋(1袋当たり9粒)前後を入れられる。
仕切りとなるLEDの基板は、果実の大きさに合わせて調整できる。基板を上下に配置し、ブドウの果房にも対応できる。
装置は、昨年8月から9万8000円で販売。国内の研究機関に販売実績があり、今後は県内外の生産者への普及を進める。同センターは「生産現場の課題解決につなげていきたい」と話す。