【独自】国と自治体調査 給食の地場産率で乖離 最大32ポイント 無償化議論へ実態把握急務
同省は学校給食の地場産食材の使用割合について、21年度から「標本調査」を実施している。6月と11月の第3週の5日間で、都道府県ごとに7調理施設を選定し、金額を基準に地場産割合を推計する。22年度の全国平均は56・5%、23年度の全国平均は55・4%だった。
一方、約7割の31道府県が独自調査を実施している。このうち19道県は、給食センターや学校など全ての調理施設を対象にした「全数調査」を行う。金額、食材数、重量のどれを基準に行うか、いつ実施しているかは、各自治体ごとに異なる。
2023年度の結果を比較すると、乖離が大きい県が目立つ。北海道は、同省調査が71・5%だったのに対し、道調査(全数調査、食材数基準)では47・3%。福岡県は同省調査51・2%に対し、県調査(全数調査、食材数基準)33・9%だった。
同省の調査結果には、JAなどからの食材の寄付が含まれない。一方、地場産が多い米などが値上がりする中、金額基準のため食材数基準の調査よりも使用割合が高くなりやすい傾向がある。
政府は26年度から小学校の学校給食を無償化する方針で、石破茂首相は学校給食の地産地消の推進にも意欲を見せる。同省調査について、自治体関係者からは「地場産食材の使用割合が実態よりも高く出ている」「地産地消のために本当に必要な支援策が講じられない」などと不安の声が上がっている。
■国調査見直しを
跡見学園女子大学の鳫(がん)咲子教授の話
給食は食育の場でもある。学校給食の無償化後も、地場産食材の活用を進めていく必要がある。そのためにも地場産食材の使用割合を正確に判断して支援策を講じなければならない。今のままでは、充実した支援策を講じることに支障が出る恐れがあり、文科省の調査方法の見直しが必要だ。
(藤平樹、国本晃)