同県はオクラの栽培が盛んで出荷量は全国トップクラス。同市でも露地のトンネル栽培に取り組む農家が多い。トンネルの中には「湯たんぽ」と呼ばれる水を入れた筒状フィルム(水封マルチ)を通し、夜間は保温し、昼間は急激な温度上昇を軽減する。巧さんは「定植する3月は気温が急に下がる日もあり、湯たんぽは欠かせない」と話す。
水封マルチは黒マルチの上に敷くが、いずれも軽く風に飛ばされやすいため、黒マルチを敷いた後速やかに水を入れた水封マルチを載せて重しをする。一方、水を入れながら風に舞い上がる黒マルチを抑えて敷く作業は大きな負担だ。
そこで開発したのが「ひとりで湯たんぽ」だ。ホームセンターで購入した木材と塩ビ製の水道管をそれぞれのマルチ幅に合わせて用意し、大小の木枠をつくる。大きい木枠は自身の腕の高さに合わせると使いやすい。この木枠の下辺に水道管を組み合わせ、大小を重ねて使えば、黒マルチと水封マルチを同時に一人で敷くことができる。

育苗の効率化を目指して製作したのは「オクラ用5穴播種器」だ。72穴の育苗セルに5つずつ種子を入れる作業時間を短縮するため、1穴用の既製品をまねて製作した。木材と2枚のプラスチック板をセルトレイの幅に合わせて用意し、板の72ヵ所に種子より少し大きな5つの穴を開ける。横から1枚の板を押すと2枚の板の穴が一致するようにバネを仕組んだ。トレイに5つずつ種が落ちるため、瞬時に種子の仕分けが終わる。

