稲作+発電で総収益5倍超 収量は23%減 東大が6年間調査
同大大学院農学生命科学研究科の加藤洋一郎教授らによる研究グループは、2018~23年の6年間、茨城県筑西市内の水田で調査を実施。田の27%を太陽光パネルで覆い、パネルを設置していない田と収量や品質などを比べた。
収量は太陽光発電を行った水田で、平均で23%減少した。パネル下で生産された米は白未熟粒が増加し、タンパク質やアミロースが多かった。研究グループは「品質を安定させるための栽培管理技術や品種の開発が急務だ」と指摘する。
収益は、収穫した米の価格と再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)から試算。調査当時のFITから試算したところ、パネルを設置した田で1ヘクタール当たり年間1870万円。収穫量が減少したにもかかわらず、パネルを設置していない田(130万円)の10倍以上となった。
調査当時より低い25年時点のFIT(1キロワット時10円)で試算しても、従来の稲作だけの5倍以上の収益を得られることを確認した。米の収益は、農水省が公表する相対取引価格の各年の平均価格に収量をかけて算出した。
研究成果は、国際学術誌「フィールドクロップスリサーチ」に掲載された。先行研究では、パネルの設置費用が10年以内に回収でき、パネルの寿命は20年であることが確認されているという。
(後藤真唯子)