県内生産量の7割強を占める「やよいひめ」は、大粒で果実が硬く、作業性や輸送性に優れる。一方、年明けに収穫ピークを迎えるため、高単価の12月に収量が少ない点が課題だ。
そこで、県農業技術センターが「やよいひめ」の特性を生かしつつ、早生性を重視した新品種を開発。24年3月に出願公表した。
RG1は「かおり野」を父とし、「やよいひめ」よりも約1カ月早い11月中旬から収穫ができる。平均果重は17・4グラムで「やよいひめ」並み。年内収量は3倍、通期の総収量も1・2倍と多収だ。香りの官能評価も「やよいひめ」を上回る。
「やよいひめ」を母に持つRG3は、11月下旬から収穫可能。果重は「やよいひめ」をやや下回るが、糖度が1度高く、正常果率も7割を超え、粒ぞろいが良いのが特徴だ。
一方、両品種とも果実は「やよいひめ」より柔らかいため、収穫やパック詰めに注意する必要がある。栽培には県の許諾が要り、当面は県外許諾は行わない。同センターは「新品種は直売や観光農園にも向く。主力のやよいひめと組み合わせ、生産者の所得向上につながるよう栽培技術の確立を進めたい」と話す。
(志水隆治)
