ぼかしの意味は発酵です。ぼかし肥料の中には微生物が生きています。その点、堆肥と似たようなものです。最初はEM菌を使ってつくりましたが、その後、天恵緑汁を知ってからは、発酵の素(もと)を天恵緑汁に置き換えて発酵させるようになりました。
東京農大アカデミーでも11年間毎年ぼかし肥料を仕込んできました。原料と分量は以下の通りです。米ぬかと油かす、魚粉各20キロ、粉末黒砂糖1キロ、先に乾き物をよく混ぜ合わせます。その後、天恵緑汁100ミリリットル、水25リットル前後を加えてよく混ぜ合わせます。水分が均等になじむまではしばらく時間がかかりますが混ぜ続けます。手で握れば固まり、指でつつけば崩れる程度になればOKです。漬物容器などに入れて空気に触れないようにして発酵させます。

容器に満杯でない場合、空気に触れない嫌気性発酵をさせるため、原料の上にポリをかけ、空気に触れないようにします。夏なら1、2週間、冬なら1、2カ月で発酵してぼかし肥料が出来上がります。表面に白いカビが出るのが発酵した印です。香ばしい良い香りがします。
実際の栽培でぼかしはどのくらいやるのかというと、私の場合ですが、果菜類など栽培が長期間の作物には1平方メートル当たり500グラム、短期間の作物には同200~300グラムを元肥として全面散布します。
栽培途中、中耕土寄せ作業などのときには追肥としてやることもあります。発酵後しっとりした状態のまま使えますが、水分を飛ばして乾燥させると微生物が休眠して長期間保存することができます。乾燥の仕方は半日陰で広げておけばよいのですが、ハエやアメリカミズアブが卵を産むことが多く、ウジがわいたりすると嫌なので、プラ舟やたらいなどの容器に入れて上に防虫ネットをかけておくのがお勧めです。

雨の当たらないところなら何日もかけて自然乾燥することができます。時折かき混ぜます。乾燥中に固まったときは、一度ふるいにかけて細かくしてから乾燥させればさらさらの状態になります。
乾燥後はふたのある容器で保存します。乾燥したぼかしは、土に入れるとすぐに微生物が起きて活動をはじめます。白いカビが見えるので分かります。(愛菜家・福田俊)
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