畑でそのまま発根させるのが自然ですが、暑い時期に親株から切り離して苗床に植え直すと、少なからず苗はダメージを受けて傷みます。ランナーが伸びて先端に子苗ができている部分を接地させず、培養土を入れた9~12センチの育苗ポットで受ければ生育ロスがありません。風で飛んだりしないように余分なランナーか針金などをUピン状に曲げてランナーの先をポットの土に挿して固定します。

すぐに発根するので、ある程度発根したところで親からのランナーを3センチほど残して切り離します。営利栽培農家では普通、親株から数えて1番目の苗は使わず、その次からの苗を翌年の苗にすることが推奨されてはいますが、1番目の苗でも立派に実をつけるので、家庭菜園では全部の苗を使ってもよいと思います。
親から切り離した子苗は9月まで養成します。せっかくポットに受けたのでそのままポット育苗もお勧めですが、地面に下ろして育苗することもできます。地面に下ろした方が生育は良く伸び伸びと大きくなるようです。途中外側の古い葉を根元からかき取ると新葉の生育が促され、クラウンが太く大きくなります。

9月下旬の秋冷のころになるとイチゴは花芽分化します。特に最近の品種は花芽分化が早くなっています。10月にはぼかし肥料を振って畝を立て幅70センチの畝なら2条植えにします。その時、親から切り離した時のランナーの痕跡が目印になるのでそれを畝の内側に向けると、畝の外側に実がなります。
イチゴは11月にかけて自発休眠に入ります。露地栽培はそのまま越冬させて寒さに当てて休眠させます。立っていたイチゴの葉は地面に寝てロゼット状になります。ポリトンネルをかけたりせずにそのまま寒さに当てます。2月下旬になったら外側の赤くなった古い葉を根元からかき取ります。畝の中央にぼかし肥料を振って、穴なしマルチを張ります。イチゴの株はマルチを破いて外に出します。
その後、イチゴは休眠から覚め、急速に立ち上がって生育し始めます。やがて花が咲き、5、6月にかけておいしい果実がなります。完熟収穫でおいしく味わいましょう。
(愛菜家・福田俊)
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