同JAは2022年、5JAが合併し誕生した。合併後の課題に浮上していたのが広報。合併を2年後に控えた20年夏、5JA広報担当者会議で協議を始めた。会議のメンバーだったJA組織広報課の笹川真紀子係長は「合併したらどういう広報をしたいかが出発点だった」と振り返る。
JA新潟中央会が示した議題を基に、課題を洗い出した。強み、弱み、機会、脅威を分析し戦略に生かす「SWOT分析」も活用。広い管内での組合員・地域住民との関わり方、准組合員・地域住民への発信不足などが弱みに挙がった。合併前から統一の広報企画やコミュニティー誌、職場内報を展開し一体感や期待感を高めていった。
JA全国大会議案の広報戦略では、実効性のある情報発信に向け、「パブリシティー(メディアを通した情報発信)」「トップ広報」「SNS(交流サイト)」の実践強化などを掲げている。
同JAが戦略の柱に据えたのがトップ広報だ。広報を情報発信だけでなく、意見を聞く手段として重視し、役員自らJAの取り組みを発信。組合員の代表らを交えた会議やメディア対応などを通じて対話を深めていった。
22年度に、准組合員モニター制度を始めた。初年度はアンケート、23年度から選果場の見学や加工品の開発などで管内の魅力をPR。モニターの意見を反映し、24年度には農業体験や農業者との交流の機会を設けた。「准組合員ステップアップ活動」とし、段階的に関係性を深めていく。
合併による広域化への対応も広報体制強化の課題だ。同JAが新設したのが通信員制度。拠点施設に、身近な情報を集める内部通信員51人を配置。研修会やイベントの開催日時などを情報提供用紙に記入し、毎月同課へ送る。巻アグリセンターの内部通信員、大谷蓮さん(29)は「JAを知らない人にも、JAがいろいろなことをしていると分かってもらえれば」と協力する。
(小林千哲、郡司凜太郎、志水隆治、山口圭一、大高摩彩が担当しました)
広報戦略
食料・農業・農村基本法の改正をふまえた「食料安全保障の確保」「適正な価格形成」に向けた国民理解醸成および行動変容に向けた情報発信に取り組む。
JAの存在意義、提供する価値について理解・共感を醸成するため、社会に情報発信を行うとともに、2025国際協同組合年(IYC2025)もふまえ、協同組合の役割や価値に対する理解の醸成をはかるための情報発信に取り組む。