スマート農業が注目を集める中、栃木県のJAうつのみやは、栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー(ザルビオ)」を活用した営農指導DX(デジタルトランスフォーメーション)に力を入れている。宇都宮市と連携し、導入にかかる経費の一部を助成。省力化や大規模化を後押ししている。
ザルビオは、衛星画像と人工知能診断を基に農作業の計画・判断・実施の効率化を助けるシステム。JAはアカウントを取得して、対象生産者の圃場(ほじょう)の登録と解析を行い、生産指導や提案をしていく。

JAでは、独自の「営農振興・担い手育成積立金」を活用した支援事業があり、2024年度から「スマート農業機械等の導入支援事業」を新設した。可変施肥機能を備える農業機械(田植え機、ドローン、ブロードキャスター)の導入経費の一部に対する助成で、農業法人や集落営農組合、担い手を対象とする。
同市が24年2月に策定した「第3次宇都宮市食料・農業・農村基本計画」では、「人づくり」「基盤づくり」「生産流通体制づくり」「地域づくり」を基本施策として展開する計画を掲げた。農業DX・スマート農業などを推進し、持続可能な農業・農村を目指し、「稼げる農業」と「つながる農業」の実現を目指す。
特に、土地利用型農業における省力化や大規模化は喫緊の課題となっている。同市も水田の大区画化を促進しながら「土地利用型農業生産施設等整備事業」で、水稲稲作に使用する農薬散布用ドローンや水管理センサーなどの導入経費に対する助成を実施している。
同市は、25年度からザルビオと連携したスマート農業機械の導入経費に対する助成も拡充する予定だ。関係機関と一体となり、普及拡大に取り組む考えだ。
ザルビオの導入を予定している耕種農家の樋口克之さん(55)は、「40ヘクタールを超える米と麦を栽培しているので、導入するメリットが大きいと思う」と期待を寄せた。
JA営農部の須藤政治米麦課長は「スマート農業をPR、推進していくために、現地検討会やセミナーを催してきた。昨年12月に開催した実演展示会では、100人を超える担い手が参加した。この取り組みへの熱意と発展性を感じる」と話した。