北海道の十勝地方にあるJAめむろは、需要が増える冷凍エダマメの生産を拡大している。2019年に処理加工施設を増設し、収穫機も増台。収穫後4時間以内に冷凍加工するルールを順守し、抜群の鮮度を売りとする。食味や産地の取り組みが評価され、24年には「第1回全国冷凍野菜アワード」でブランド商品「十勝めむろ えだまめ」が最高位の最高金賞を獲得した。

JA管内の耕作面積は約2万ヘクタールあり、小麦、ジャガイモ、テンサイ、大豆、小豆を中心に生産している。エダマメは当初、小規模な栽培で、加工処理も他機関に委託していたが、1993年にJA子会社「ジェイエイめむろフーズ(以下めむろフーズ)」を設立し、自社工場で加工処理も手がけるようになった。
めむろフーズは芽室町の農産物に付加価値を高めて販売し、生産者の所得向上を目的に設立。工場ではジャガイモ、エダマメ、サヤインゲン、ブロッコリー、豆類、ナガイモなどを、通年で冷凍加工している。
エダマメは収穫時期に冷凍加工する。収穫適期は7~10日程度と短く、適期を過ぎると実が固くなり、食味が失われる。輸入品や国産と数多い冷凍エダマメの中で差別化するため、計画的な播種(はしゅ)期の分散と適期収穫を徹底。冷凍加工は「収穫から4時間以内」とし、取れたての鮮度を閉じ込める。
品種は、収穫時期の分散を考慮して選定する。現在栽培する品種は「サッポロミドリ」「夏風香」「大袖の舞」の3種類。収穫はフランス製の大型ハーベスター4台で行い、1日で12~14ヘクタールを一斉収穫する。収穫後すぐに生産者自らダンプカーで工場へ運ぶことで、短時間での冷凍加工を実現している。

19年に工場を増設して生産拡大に踏み切った直後に、新型コロナウイルス禍に見舞われ、飲食店などの業務需要が低下した。一方、巣ごもり需要でスーパー向けの需要が増加。エダマメの出荷量は伸びており、19年比で出荷量は約1・5倍となった。
工場の処理能力を考慮すると、今後の出荷量は横ばいとなるが、常に工場はフル稼働する予定だ。生産者とJA、めむろフーズが協力して、今後も冷凍エダマメの産地としてJAの農業振興ビジョンである「次の、おいしさへ」をモットーに消費者から信頼され、選ばれる産地を目指していく。