全国各地の「ご当地牛乳」の人気がじわり広がっている。その土地ならではの特別感や、特徴的なパッケージに若い世代が注目。懐かしの給食牛乳をまとめたマップも登場し、話題を呼ぶ。6月は牛乳月間。地域で愛されるご当地牛乳が広告塔となり、酪農のファンづくりに一役買う。
「懐かしい!」「知らない牛乳がたくさん」――。地図大手のゼンリンは、北海道から沖縄まで300以上の多種多様なご当地牛乳を紹介する「小学校の給食牛乳マップ」を独自に作成し、ツイッター上で公開している。投稿には、地元の銘柄を懐かしむ声が数多く寄せられ、昨冬の公開以降、3・8万件の「いいね」が付くなど大きな反響を呼んでいる。

ゼンリンがツイッター上で公開した給食牛乳マップには、ご当地牛乳への応援メッセージも数多く寄せられた(同社提供)
マップは、地域の特性を地図で表現する企画の一環として同社が独自に作成したもの。ツイッター上で情報提供を呼びかけ、全国から寄せられた6000件超の情報を集約した力作だ。
ネット上では、昔給食で飲んでいた牛乳探しや、“推し”の牛乳のアピール合戦も盛り上がりを見せた。特集ページでは、地域ごとのより詳細な調査結果も掲載する。
生産コストの高騰や需要減退で酪農乳業界が危機的な状況となる中、牛乳に注目が集まるきっかけとなり、乳業メーカーからの問い合わせも相次いだ。
同社の公式ツイッターでは、6月1日の「牛乳の日」に合わせ、再度マップを投稿する計画だ。同社は「給食牛乳を知ることは、その地域を知ることにつながる。家族や友人と、給食牛乳トークに花を咲かせてほしい」と呼びかける。
若者が“ジャケ買い”

ご当地牛乳は、地域の酪農のアピールになる。新潟県の佐渡を象徴するトキがデザインされ、「トキパック」の愛称で知られる「佐渡牛乳」は、島内外に多くのファンがいる地元を代表する牛乳だ。
島内の7戸の酪農家が搾った高品質な生乳を原料に、地元の佐渡乳業が、搾りたてにより近い味わいにするためのこだわり製法で消費者に届ける。
「佐渡ならでは」のご当地感も魅力となり、同社の直売所には、佐渡牛乳やオリジナルのソフトクリーム、チーズなどを求める観光客や地元客が訪れる。土産物や、地域の飲食店の食材としても引き合いがあるという。
同社の池野一昭専務は「佐渡ならではの牛乳や加工品を届けることで地域の酪農の価値を伝え、佐渡へ訪れてもらえるようにしたい」と思いを込める。