同病は感染すると葉が黄色くなって巻く症状が出て、症状が進行すると開花しても実がつかなくなることが多い。病原のウイルスに感染しても発病を抑える抵抗性品種が開発されているが、夏に発病するケースがあることが、国内外の生産現場で知られていた。一般的には耐病性がある品種として各メーカーが販売している。ウイルスはタバココナジラミが媒介する。
研究グループは、病原ウイルスを感染させた抵抗性の7品種を日中35度、夜間20度の高温下と、日中25度、夜間20度の常温下で3週間育てた。各品種とも国内で一般に栽培されている。結果、7品種全てで高温下のトマトだけ発病した。発病するのは、国内で発生が知られる2系統のウイルスのうち「TYLCV―IL」の1系統。高温によりウイルスを破壊する植物の機能がうまく働かなくなったと考えられるが、詳しい仕組みは未解明だ。
農水省は「重要病害なので抵抗性品種の普及はかなり進んでいる」(植物防疫課)とみる。西日本のある主産県では冬春大玉トマトの抵抗性品種の割合は8割に上る。この県内のJAは「少雨でコナジラミが発生しやすい年は、抵抗性品種でも発病する場合が多い。地域一体で除草や農薬散布を徹底し、被害を抑えている」と話す。
換気で温度下げて
同大の小枝壮太准教授は「温暖化が進んでおり、抵抗性品種でも夏に育てる場合は、被害が広がる可能性が高まっている」と指摘。換気をしてハウス内の温度を下げたり、感染疑いのある株を処分したりするなどの対策が必要だと訴える。