日本産“不合格”台湾検疫で多発 農薬基準 業者の認識甘く イチゴ目立つ
貿易統計によると、2022年10月~23年7月の台湾向けの果実輸出量は、21年10月~22年7月の実績と比べて37%増の3万1458トンと過去最高を更新した。しかし、四半期別で見ると、第1四半期(1~3月)の輸出量が伸び悩んでいる。
贈答用として人気の高い日本産果実は本来、年間の最大需要期である春節(旧正月)に合わせ、1~3月の輸出が増えるはずだ。しかし、この10年間、この時期の停滞が続いている。その要因として複数の貿易関係者は「スポット需要に合わせ、輸入業者が日本の一般市場から調達し、残留農薬違反が多発し、輸入検査が厳しくなったためではないか」とみる。
税関に当たる台湾衛生福利部食品薬物管理署が発表した、残留農薬基準の違反事例からその実態がうかがえる。21年10月~23年6月で、日本産果実を含む生鮮農産物の不合格事例は、129件に上る。そのうち、半数近くが1~3月に集中している。不合格の品目は、メロン、イチゴ、リンゴ、ブドウ、キンカン、ブルーベリー、サクランボ、キウイフルーツなどがある。特に、イチゴが目立つ。
台湾と日本では、使用できる農薬や、残留基準が異なる。輸出に取り組む産地では、台湾の基準に対応した防除体系で栽培し、出荷前の残留農薬検査も行う。産地と連携し、農薬使用履歴の確認や検査をして、検疫で不合格にならないようにしている業者もいる。
日本青果物輸出促進協議会は、ホームページに台湾向けのイチゴ輸出に関する特集ページを開設。市場からイチゴを調達・輸入する場合①台湾の基準に対応して栽培したか②台湾の残留農薬基準に適合するか──を確認する必要があると強調している。台湾への輸出に取り組む産地の事例も紹介している。(金哲洙)