地域農業が抱える課題で最も多かったのは「担い手の高齢化・減少」で74・8%に上った。「生産資材価格の高騰」が40・3%、「農畜産物の価格低迷」が36・5%と続いた。
基本法の見直しで重視すべきことは、「適正な価格形成(価格転嫁)」が最も多く75・2%。「担い手の育成・確保」が66・8%、「経営安定対策の充実」が59・4%、「多様な農業人材の育成・確保」が40%だった。
政府が基本法見直しの柱に据える「多様な農業人材の育成・確保」に必要な取り組みを聞く設問では、「地域内雇用の拡大支援」が57・1%、「補助事業での規模拡大・生産性向上要件の緩和・撤廃」が53・5%と、それぞれ5割を超えた。その他、「副業や兼業、半農半Xへの支援」が46・8%、「農作業を請け負う企業や事業体の育成」が45・8%と続いた。
自由記述では、「食料自給率向上のための抜本的な対策を明示すべきだ」(東北のJA)、「担い手が将来展望を描ける適正な価格形成と再生産可能な農業所得の安定確保が重要」(北海道のJA)など、自給率向上や生産コストの価格転嫁、農家の所得確保に関する要望が多数に上った。
(問1~3、310JAの回答を集計)
- 担い手の高齢化・減少 74・8%
- 農畜産物の価格低迷 36・5%
- 生産資材価格の高騰 40・3%
- 気候変動・自然災害 11・3%
- 耕作放棄地の拡大 9・4%
- 労働力不足 16・5%
- 農村コミュニティーの弱体化 2・9%
- 共同施設や水利施設の老朽化 7・1%
- その他 1・3%
- 担い手の育成・確保 66・8%
- 多様な農業人材育成・確保 40・0%
- 適正な価格形成(価格転嫁) 75・2%
- 経営安定対策の充実 59・4%
- 農地の集積・集約化 9・0%
- 環境負荷の低減・有機農業の拡大 4・8%
- スマート農業の推進 7・1%
- 農林水産物・食品の輸出拡大 6・1%
- 農村インフラ(農業水利施設など)の機能確保 8・4%
- 農業・農村の多面的機能の発揮 14・5%
- 農村コミュニティーの維持 5・8%
- その他 2・9%
- 副業や兼業、半農半Xへの支援 46・8%
- 農作業を請け負う企業や事業体の育成 45・8%
- 外国人材の受け入れ拡大 19・4%
- 地域内雇用の拡大支援 57・1%
- 農福連携の推進 16・5%
- 他産地・他業種との連携強化・人材融通 35・2%
- 企業参入の促進 2・3%
- 認定農業者制度の廃止 3・9%
- 補助事業での規模拡大・生産性向上要件の緩和・撤廃 53・5%
- その他 2・3%
日本農業新聞が10月、全国のJAトップ層向けに行ったアンケートの回答をまとめる。農政の重要課題に対する認識や危機感など、現場の肉声を紹介する。