
果実の1位は、愛媛県のブランドかんきつ「紅まどんな」。糖度が高くゼリーのような食感で、トップに躍り出た。他のかんきつが少ない歳暮時期に照準を合わせて出荷し、高級な贈答品としての地位を固める。
2位のリンゴ「ぐんま名月・名月」は、蜜入りの黄色系で国内外でニーズが高い。2位タイのイチゴの栃木県独自品種「とちあいか」は、23年に初めて県内作付面積が「とちおとめ」を上回った。
ブドウでは長野県の「クイーンルージュ」(5位)が、「シャインマスカット」(6位)を抑えた。糖度が高く種なしで皮ごと食べられる赤系品種。シャインは増量が進んだことで、加工用途でも支持を広げる。
ミカン「ゆら早生」は4位。極早生種の中で頭一つ抜けた食味の良さと安定した品質で支持が厚い。かんきつ「せとか」(6位タイ)は、高糖度で香りが良く、果汁が豊富なことから人気が高い。
8位は、鳥取県の梨「新甘泉」。早生種の赤梨で、大玉で高級感があり甘味も強くギフト需要をつかむ。種まで食べられる小玉スイカ「ピノ・ガール」も8位タイとなった。
〝熱い〟焼き芋
野菜ではサツマイモが首位を獲得した。品種は「べにはるか」「シルクスイート」と、ねっとり系で甘い焼き芋の定番品種に人気が集中した。一方で、ほくほく系の「栗かぐや」を挙げる声も一定数あった。
トマトは、ミニ(2位)と中玉(9位)が上位に入った。特にミニトマトは簡便さが支持を集め、量り売りやへたなしの需要も高かった。猛暑で作柄が悪化するリスクが高まり、硬く日持ちが良い品種を望む声が目立った。大玉トマトは12位だった。
3位のタマネギ、4位のブロッコリーは、栄養面と用途の広さが評価された。タマネギは「生食に向く商品を常時仕入れたい」との声も出た。温野菜にもサラダにも使えるブロッコリーは、冷凍に適した品を望む声、5位のアスパラガスは、輸入品の価格上昇を受けた国産転換に期待する声が上がった。
6位のトウモロコシは夏の売り場の主役として売り込みやすい。7位のスナップエンドウは、さやごと食べられる簡便性と幅広い世代に好まれる良食味で、人気が定着。もやしは消費の節約志向を受けて10位に入った。
<ことば> 農畜産物トレンド調査
卸や小売り、外食などに24年の売れ筋をインターネットで聞き取り、昨年12月上・中旬に約240社の回答を得た。本年で17回目。青果物では「消費が伸びる」かを野菜67品目、果実93品目・品種で尋ね、期待値を本紙が独自に算出した。有効回答数は野菜79、果実72。