食料・農業・農村基本法が制定された1999年以降、農業者は減り、耕作放棄地は増え、食料自給率は下がっている。一つの産業として農業が消えかねない状況で、農政の失敗以外の何物でもない。これまでの政策を十分に検証し、基本法の改正に当たるべきだ。
改正案では、食料自給率の位置付けが弱まっている。これまでは最も重要な目標に位置付けていたが、改正案では他の目標とひとくくりにしている。自給率の位置付けをあいまいにしてはいけない。
生産コストを反映した農産物の価格形成は簡単ではない。消費者の実質賃金が上がらない中、農産物の価格だけ上げるのは難しい。
党としては、生産コストの上昇分を国が補填(ほてん)する直接支払制度の創設を提案したい。併せて、農地を守る農家に対して、面積に応じて助成金を支払う仕組みも考えたい。農業従事者や農地がこれ以上減らないよう、新たな仕組みを作らなければならない。
関連法案の食料供給困難事態対策法案には、農家に増産を指示するなど「私権制限」の問題がある。国内で食料が不足する不測時には、平時から再生産できる環境を整え、国内生産を増やしておくことで対応すべきだ。
農地関連法改正案については、転用規制の強化だけでは農地は守れない。(農地を管理する)農家の確保もセットで考えなければならない。また、農地所有適格法人の出資規制の緩和特例は、生産現場の懸念を取り除く必要がある。