[農政の憲法]「持続的供給めざす」食料価格形成巡り農相 衆院農水委
坂本哲志農相は9日の衆院農林水産委員会で、生産費などを考慮した食料の価格形成を通じて「持続的な食料供給が確保されることを目指したい」と強調した。一方、価格は関係者間の交渉で決まるとして、「生産者が支払った費用がそのまま単純に転嫁されるものではない」との認識も示した。
委員会は、政府提出の食料・農業・農村基本法改正案を審議した。改正案は食料の価格形成について「持続的な供給に要する合理的な費用」の考慮を求める。
立憲民主党の神谷裕氏は「一番の関心事は農業者にとって再生産可能な価格となるかどうか」だと強調した。農水省は、現状はコストなどの実態を関係者間で共有し切れておらず、合理的な価格形成が「十分に機能していない」と指摘。長期的に高まっているコストを反映する必要があるとして改正案への理解を求めた。
日本維新の会の山本剛正氏は、環境配慮などさまざまな費用の反映で際限なく価格が上昇すれば「(消費者が)安心して買える価格ではなくなる」と指摘した。農水省は全てのコストを積み上げれば、価格が大幅に上昇し、消費者や小売りに受け入れられない場合があるとし「コスト増と消費者の購買能力の折り合いをどうつけていくのかが大切だ」とした。
消費者の理解醸成や安売りなどへの対応に関する答弁もあった。農水省は、適正価格の重要性を伝える「フェアプライスプロジェクト」などに注力すると強調。消費者庁は「値上げがあっても買って応援する」といった行動を促す広報を続けるとした。公正取引委員会は、不当廉売などに対処していく姿勢を示した。いずれも自民党の武井俊輔氏への答弁。
農政推進の裏付けとなる財源を巡り、坂本農相は「当初予算はもとより補正予算も含め必要な予算の確保に努める」と強調。農地の大区画化など農業農村整備事業を着実に進める考えも示した。立憲民主党の金子恵美氏や日本維新の会の池畑浩太朗氏、公明党の稲津久氏への答弁。
JAについて、農水省の舞立昇治政務官は「自己改革を引き続き後押ししていく」と述べた。農業団体を巡る改正案の規定について尋ねた、立憲民主党の小山展弘氏への答弁。