![※[農政の憲法]](https://www.agrinews.co.jp/media/2024/03/22/l/20240322_gzznqkk5dcc3p9qrxzvz.jpg)
この日は採決を前に、自民党と維新が賛成、立民と共産、国民民主党の各党が反対の立場で、それぞれ討論に立った。
改正案は、食料や生産資材の輸入の不安定化などを踏まえ、現行理念の「食料の安定供給の確保」に代えて「食料安全保障の確保」を位置付ける。自民党の小島敏文氏は「食料がいつでも自由に手に入ることが当たり前ではなくなってきた。食料安全保障を捉え直す必要がある」と評価した。
一方、食料安全保障の状況を多角的に捉えるため、食料自給率以外の目標も定めるとする改正案に対し、立憲民主党の渡辺創氏は「(目標を)実現できないのでフェードアウトさせる(徐々に消す)かのような対応は看過できない」と批判した。
改正案は、新たな基本理念に「環境と調和のとれた食料システムの確立」を加える。ただ、条文に「有機農業」の文言がないことから、国民民主党の長友慎治氏は「有機農業が明確に位置付けられなかったことで、現場の生産者が目標を失いかねない」と懸念を示した。
さらに、食料の価格形成で「持続的な供給に要する合理的な費用」を考慮する方針を盛り込んだことに対し、共産党の田村貴昭氏は「実質賃金が下がり続ける中、再生産可能な価格を実現できる保証はない」と指摘した。
日本維新の会の掘井健智氏は賛成を表明しつつ、担い手以外の「多様な農業者」への配慮を定める規定には「(この規定を)削除するなどの議論もしていく」と不満を示した。
基本法改正案は、今国会で特に重要な「重要広範議案」に指定されている。衆院によると、農林水産委員会での審議時間は約31時間。これまで重要広範議案に指定された農水省所管の法案の中で、他省の法案と一括で指定されたものを除き、最短の審議時間だった。
