台風直撃 ゴマ「全滅状態」 鹿児島・喜界島 国内生産量の7割
気象庁の観測データによると、10号は28日にかけて喜界島に最接近。8月27日夜に最大風速33メートル、最大瞬間風速44・2メートルといずれも観測史上最大の猛烈な風が記録された。
町によると、今年の島のゴマ作付面積は150ヘクタールで、45トンの収量を見込んでいた。10号通過後に被害を調べたところ、8割が倒伏、残りも塩害に遭っていた。ゴマは倒伏すると成長が阻害されるなど影響は大きく、町は県に対し、ゴマ被害を45トン、総額1億80万円と報告。農業被害ではこの他、基幹作物のサトウキビの倒伏や牛舎、ハウスの損壊も深刻な状況となっている。
鹿児島県によると、2021年のゴマの国内生産量58トンのうち同県が7割に当たる40・3トンで、うち喜界島が9割超を占める。他県では長野、栃木両県の計1割強だ。
同島のゴマは島外の品種と交配されず、農家が種を残し、継承してきた在来種の白ゴマ。病害虫に強く、無農薬・無化学肥料栽培で知られる。サトウキビ農家にとって夏場の現金収入になっている。一方、日本のゴマ自給率は0・1%で、ほとんどを輸入に頼っている。