スーパーの米売り場が2024年産の新米に切り替わった。店頭価格は5キロ当たり3500~4000円が中心で、前年同時期から1000~1500円程度上昇した。集荷競争が過熱し、産地と卸間の取引価格が大幅に上がったことが影響した。一方でスーパーの販売ペースは、前年を1、2割下回り、盛り上がりに欠ける。
10月下旬~11月上旬の関東圏内のスーパー7社の新米価格(5キロ)は、新潟・一般「コシヒカリ」が3600~4200円、秋田「あきたこまち」が3500~4000円、北海道「ななつぼし」が3700~4000円。
高価格帯の銘柄では4000円を上回る例が目立つ。新潟・魚沼「コシヒカリ」で4730円、北海道「ゆめぴりか」で4163円などが散見される。広告の品やブレンド米として割安で売られている商品でも3000円台前半が多く、「23年産同時期の新潟コシヒカリより高い水準」(大手米卸)。
背景には、集荷競争の過熱がある。JAでは集荷量確保のために概算金の上げ改定が相次いだ。米価の指標となる産地と卸の相対取引価格を見ると、直近9月は、前年産比48%高の2万2700円(60キロ)まで上昇した。
店頭価格の大幅な上昇を受けて、消費者の購入ペースが鈍い。農水省によると、10月21~27日のスーパーでの販売数量は前年同期比で14・2%減った。多少の上下はあるものの、9月2~8日の週以降、前年割れが続いている。
今後、在庫消化に向けて、スーパーなどが特売を増やす可能性がある。米卸やスーパーの担当者らには、「税別3000円(5キロ)以下の米は飛ぶように売れる」との手応えがある。一部で安価な輸入米やブレンド米なども並ぶ。同担当者は、「多くの客は今夏に買いだめした分を食べ切った様子で、値頃な米であれば欲しいという客は多い」とみる。
米価は長らく低迷していたが、24年産で上向いて農家の再生産が見込める水準まで上昇した。ただ、稲作経営の安定には、上昇した価格水準を維持する必要がある。スーパーなどは、売れ行きをにらみながら売価を設定していくとみられる。
(鈴木雄太)