23年度は、荒廃農地が新たに2万5000ヘクタール増えた一方、元々あった荒廃農地が2万1500ヘクタール減った。
減少分の内訳は、営農できる状態に再生されたものが9800ヘクタール、農地でなくなり集計から外れたものが1万1700ヘクタール。後者は、雑木林になるなどして荒廃が進み、農地への再生が難しいと判断され、地目が「農地」から「山林」などに変更されたものが多くを占めるとみられる。
国内の荒廃農地の面積は、統計が始まった08年度以降、調査方法が変わった21年度を除き、大きな増減なく推移している。だが、実際には、荒廃農地は毎年、発生し続けている。元々あった荒廃農地が地目の変更で集計から外れることなどで相殺され、横ばいが保たれているのが実情だ。
荒廃農地は(1)木の伐採や石の除去で営農を再開できる「再生利用が可能な荒廃農地」(2)雑木林になるなどして営農再開が難しい「再生利用が困難と見込まれる荒廃農地」--の二つに分かれる。23年度は、(1)が前年度比4%増の9万3800ヘクタール、(2)が0・3%減の16万2900ヘクタールだった。
荒廃農地の面積を都道府県別に見ると、長崎(1万4075ヘクタール)、長野(1万3787ヘクタール)、愛媛(1万2932ヘクタール)の順に多かった。中山間地や離島など条件不利地を抱える地域が上位に並んだ。
農地面積に対する荒廃農地の割合は、東京の48・3%が最大。東京都によると、伊豆諸島を中心に離島に荒廃農地の大部分があるという。次いで長崎(31・1%)、愛媛(29・2%)が続いた。上位10位のうち6県を中国・四国地方が占めた。
農地を巡っては、集落ごとに将来の農地の利用方針をまとめる「地域計画」が全国各地で3月末までに策定される。計画では、10年後に誰が営農するか農地1筆ごとに定める。
同省は「地域計画によって、(将来の受け手がおらず)耕作されなくなる恐れのある農地が『見える化』される。荒廃農地にならないよう対策を講じたい」(地域振興課)とする。
(北坂公紀)
