カット野菜は割安感のある商材として定着。原料価格が上昇する局面にあっても参考売価の引き上げは難しいという。同社は「生産者の収入確保や消費者への安定供給に向け、従来の固定価格の販売も見直していく必要がある」と話す。
容量を削減する5商品の製造・販売は、17日店着分から3月上旬までを想定する。参考売価が100円(税別)の「千切りキャベツ」「ブロッコリースーパースプラウト入りミックスサラダ」は、120グラムから100グラムに減らす。260グラムだった両商品の大容量パックは220グラムに、200グラムの「ざく切りキャベツ」は150グラムにそれぞれ減らす。同社は昨年10月にも容量削減を行っている。
キャベツは昨年11月から、高温や長雨の影響で品薄となり相場が上昇。年明け以降も市場価格が平年の3倍水準となっている。
これに伴い、割安感のあるカット野菜の需要が急増。同社によると、契約産地の収穫量が不作で少なく、市場調達も採算が合わないことから、実質的な値上げに踏み切った。「取引先には発注点数の制限をかけている」という。
カット野菜製造大手・サラダクラブによるパッケージサラダの実質的値上げは、1袋100円前後というカット加工商品の“安値縛り”が供給側で限界を迎えた証しだ。契約する生産者のためにも、業界として足並みをそろえてカット野菜の適正価格実現への取り組みが求められる。
昨秋から続く、キャベツ相場の異例の高値とその長期化の一因は、不作に加えて、カット加工商品の値段が固定で割安感が出て需要が高まったためだ。業者は契約産地では足りない分を市場調達で補うため、市場価格が上がった。
カット加工商品の持続的な生産には契約産地の存続が欠かせない。問題は、市場価格が上昇しても、契約産地は不作で取引価格が固定であるために、生産コストの回収が難しくなっていることだ。
気象災害リスクの上昇で今後も計画通りの生産が困難となる懸念が高まる中、今までのような固定価格での取引では持続可能な安定生産にはつながらない。生産コストも年々上昇しており、カット加工商品の値上げは必須だ。加えて、原料の供給状況に応じた柔軟な価格形成が求められる。小売りや消費者には長期的に安定供給していくために必要な値上げであることへの理解を深めてもらう必要がある。
(永井陵)