政府による認証制度が「有機農産品(タイワン・オーガニック)」だ。農家の場合、認証取得費の9割を助成するなど支援を措置。認証されれば「有機農産品」などの名称やロゴマークを使って販売できる。
台湾政府と国立中興大学で組織する有機農業推進センターは、認証を取得した農産物は「日本に輸出しやすくなった」と指摘する。その要因が、台湾が日本と2019年に締結した有機食品に関する覚書だ。自国・地域の政府の認証を得ていれば、相手先で認証を得なくても有機食品として販売できるようになった。24年には有機酒類も対象となった。
台湾の有機食品は、野菜や米、茶、しょうゆなどが日本に輸出されている。同センターは「日本市場の潜在力は大きい。コールドチェーン(低温流通)設備の改善、日本のニーズや消費習慣に関する理解を深めることが課題だ」とする。
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台湾では民間や官民組織による独自認証も運営されている。NPOの慈心有機農業発展基金会が運営するのが「緑色保育」。希少生物の種と生息地を保全する農家を認証するもので、24年末時点で626人が取得し、面積は延べ約916ヘクタールに上る。認証を取得している北部・新北市の陳陸合さん(67)は有機茶を栽培する。傾斜地にある茶畑の石垣をコンクリートではなく石積みにし、「動物が登りやすくしている」(陳さん)。緑肥としてコスモスやルピナスも栽培している。
農業部と台北動物保育教育基金会でつくる阿虎団隊は「友善石虎農作」認証を運営する。絶滅の危機にひんしているベンガルヤマネコの生息地保全を目的に作られた。中部・南投県でバナナを有機栽培する農家は、園地でベンガルヤマネコの痕跡を発見したことを機に認証を取得した。販路が広がり、安定収入につながったという。
(森ちづるが担当しました)