環境負荷低減や食料自給率向上などの社会課題に対応した食を選ぶ意向のある消費者のうち、取り組みによる値上げを許容できる人が6割超を占めることが20日、シンクタンクの日本総合研究所の調査で分かった。こうした食への追加支出で、約1兆円の付加価値が新たに生み出されると試算。環境対策などをコストではなく、もうかるビジネスの機会として捉え直すよう提起した。
調査は全国18~69歳の1万人を対象に、昨年12月にインターネットで行った。食分野で対応が求められる社会課題を、(1)食料自給率の向上(2)食品ロスの削減(3)環境への配慮(4)労働・人権への配慮(5)家畜の快適性に配慮するアニマルウェルフェア--の5項目を設定して調べた。

課題に配慮した食が生み出す付加価値の市場規模は、普段の食事で配慮した食に置き換えたいと考える割合と、それに対しどのくらい追加で支払えるかをかけ合わせて算出した。5項目いずれも5~20%ほどの値上げであれば許容できるとする人が半数を占めた。
その結果、自給率向上では8287億円、環境配慮では6551億円の付加価値が生み出されるとした。重複分を除いた5項目総額では、約1兆円規模に上るとした。
調査を担当した関健太郎氏は、課題に配慮した食に対価を支払う意向の人もいると指摘。事業者が環境対策などに投資する効果が想定でき、取り組みが加速すると期待した。