【独自】大阪・関西万博 GAP農産物の使用低調 品薄で米わずか、野菜も5割止まり
2015年に持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択されてから、五輪や万博などの国際イベントでは、会場内で使う食材について、GAP認証を取得したものを使う流れが加速。関西万博の調達基準でも、➀民間認証の国際水準GAP➁都道府県GAP➂有機JAS認証――などの農産物の仕入れを原則としている。
日本国際博覧会協会によると、関西万博の食品提供事業者によるこれら食材の調達割合は2月末時点で、野菜は55%、米はわずかしかない。野菜・米で同様の基準を設けていた東京五輪では、国産のほぼ100%がGAPなどの認証食材だった。関西万博では他に、畜産物の調達もごくわずかにとどまっている。果実は調達状況が明らかにされていない。
同協会は、食品提供事業者の公募が難航して、「認証食材を準備する十分な時間がなかった」と説明する。関西万博は、開催地の夢洲が人工島であるため出店のハードルが高い。2023年12月~24年1月に公募をしたが、当初は5事業者しか決まらなかった。3次募集の締め切りを半年延ばし、25年2月にようやく想定していた事業者の数が集まった。
食品提供事業者は万博の出店が決まってから食材の調達計画を立てる。開催の直前まで公募がもつれ込んだため、多くの事業者が通常の農産物より仕入れが難しい認証食材を手配する時間が取れなかったとみられる。
関西万博の開催期間は10月13日まで。同協会は、認証食材の確保のめどが立てば、「使用割合はもう少し高くなる可能性がある」と見通す。GAP認証農産物の推進をしている農水省は「関西万博で認証食材の使用率を高めるよう、働きかけていきたい」(農業環境対策課)としている。
(金子祥也)