[あなたも担い手]卸がリンゴ就農者育成 産地先細りに危機感 青森県弘前市
このグループ会社は弘果総合研究開発。同市の農事組合法人と連携し、23年度、県内ではまだ取り組みの少ない樹体を小型化し樹間を狭くする「高密植栽培」を実践する研修農場5ヘクタールを開設した。
24年度から毎年2人ずつ、4年間で8人の新規就農者を育てる。2年間、技術や販売などを幅広く学んでもらう。独立時に、農場の0・5ヘクタールと苗木などを有償提供する。独立に必要な機械などはリースする予定。
同社によると、独立する前に条件の良い園地と苗木が確保されているのが大きな魅力。省力化が見込める高密植栽培なので技術習得もしやすい。同社社員がサポートしてくれるため、卸売市場の販売状況などを踏まえた出荷につながる。こうした条件の良さから、24年度からの1期生には申し込みが相次いだという。
1期生の齋藤良一さん(30)は、市内の建設会社を退職し研修生となった。かつて農作業のアルバイトをしていた時に「農業は高齢者が多いが、若い担い手となりたい」と思い、リンゴ農家になる決断をしたという。同期生の野呂晃貴さん(30)は「自分で園地を探すのは大変だが、農作業が快適にできる環境の園地で独立できるのはありがたい」と話す。今後は、移住者らも呼び込みたい考えだ。
同社は「全国筆頭のリンゴ産地の卸売会社として、生産基盤維持に取り組む。若い就農者と共に高密植栽培のメリットも地域に広げていきたい」としている。
(尾原浩子)