[ニッポンの米]備蓄米30万トン放出へ 大手小売り対象 買い戻しなし
26日に概要を公告し、事業者向けの説明会を開く。小泉農相は23日のNHK番組で、6月上旬には「5キロ2000円」の備蓄米が店頭に並ぶとの見通しを示した。
備蓄米はこれまで、国がJA全農など大手集荷業者に一般競争入札で販売した後、卸売業者を通じて小売業者や中食・外食に供給していた。随意契約に見直すのは、価格を国が決めて売り渡すことで、販売価格を引き下げる狙いがある。
随意契約への見直しは、国有財産を売り渡す際に原則、入札を行うよう定める会計法との整合性が課題。小泉農相は財務省と協議し、「調整が整った」との認識を示した。
30万トンの内訳は、2022年産20万トン、21年産10万トンとなる見通し。売り渡し先は、1万トン以上を扱える小売事業者を想定する。ネット通販大手の楽天グループが参加の意向を示している。
精米を担う卸売業者を通さないため、玄米をどこで精米するかが課題。小泉農相は23日夜、記者団に、精米し1週間で店頭に並べられる事業者が「複数社出てきている」と説明した。全国に幅広く流通させるため、地方への輸送費を国が負担する方針も示した。
備蓄米は計61万トンが放出されることになる。一方、25年産の主食用米の生産量は4月末時点で、前年を40万トン上回る見込みで、需給緩和による米価下落の懸念も強まる。
小泉農相は「高止まりが続けば間違いなく米離れが進む。それを何としても避けたいという思いを農家の皆さんに伝えたい」と述べた。
(岡信吾)