この瞬間を待ち望んだのは、リンゴ「ふじ」の発祥の地、青森県藤崎町の農家らだ。大の里と同町はゆかりが深い。しこ名は、同町出身で大正から昭和初期にかけて活躍した名大関「大ノ里」にちなむ。そういった縁から、地元の有志が大の里に贈ったのが、白地の中心に真っ赤な「ふじ」を描いた化粧まわしだ。
大ノ里の兄のひ孫に当たる同町の天内司さん(72)はこの日、藤崎町役場で優勝を決める一番を、固唾(かたず)をのんで見守った。天内さんはかつて同町役場に勤めながら、自身の園地で「ふじ」を栽培した元農家だ。「今年は豪雪の影響でリンゴの木が折れるなど甚大な被害が出た。大の里の活躍は、肩を落とした多くのリンゴ農家にも勇気と希望を与えたと思う」と話した。

同町の佐藤菓子舗が製造・販売する 「りんご銘菓大の里」の売れ行きが好調だ。地元産「ふじ」で作った餡が入った、相撲の軍配の形をした菓子で、大の里の活躍もあり、前年同期と比べ3倍の売り上げを誇る。
同菓子舗の会長、佐藤一朗さん(74)は、「大の里の活躍で、全国各地から注文が入る。うちのお菓子を知ってもらうきっかけになる」と、大の里の一層の活躍に期待した。
(前田大介)
