18日、Xに投稿された1枚の写真。田んぼとみられる場所で、100匹以上のザリガニが横になって沈んでいる。異様な光景は反響を呼び、表示回数は約4300万回(21日時点)。投稿文には、「田の水が風呂と同じくらい熱かった」と添えられている。
翌日、別の投稿者も水田で複数死んだザリガニの姿をXに上げ、反響を呼んだ。投稿した埼玉県幸手市の40代男性に話を聞くと「熱い水から逃れるように稲にしがみつくザリガニもいた」という。
各地で発見される大量死。何が原因なのか。四半世紀以上、ザリガニの生態を研究する岡山大学環境生命自然科学学域の中田和義教授に見解を聞いた。


中田教授は「現場を見ていないので正確には判断しかねる」とした上で、考えられる原因は二つあるという。
一つは高水温になったこと。高温に強いアメリカザリガニでも、生きられる水温はせいぜい39度まで。「水深が浅く、猛暑により水温が40度以上になったことが影響した可能性は高い」と説明した。二つ目は酸欠。高水温になると水中の酸素濃度が低くなる一方、ザリガニが活動するのに必要な酸素量は増える。酸素不足で死滅したことも考えられるという。
アメリカザリガニは水田に穴を掘って漏水を引き起こし、稲を食害するので「いないに越したことはない」(中田教授)。死骸は放置すると悪臭を放ち、病害虫の原因になる恐れもあるので、すぐに処分するよう勧める。
環境省によると、死んだザリガニは自治体の分別に従い、一般ごみとして廃棄できる。死骸が大量にある場合は「自治体に相談してほしい」(野生生物課)とする。