会津地方では、寒暖差の大きい気候と周囲を囲む山々からの雪解け水に恵まれ、うま味のあるアスパラガスを生産してきた。昭和40年代にグリーンアスパラガスの栽培がスタート。昭和50年代にはハウスを導入し、半促成や夏秋取り栽培による2期取りを普及させた。2016年には生産者722人で栽培面積2万863アールを誇り、販売額も10億円に迫る勢いだった。

だが、農家の高齢化などに伴って減少傾向が続き、昨年は生産者は369人、栽培面積1万555アールに半減、販売額も6億5000万円弱にとどまった。
JAでは、県内で9割近いシェアを誇る会津アスパラガスの産地をV字回復させるため、「おいしいアスパラをおいしいまま届ける」ことに力を入れた。
20年に広域会津集出荷施設「会津野菜館」の稼働を開始した。JA全農福島と共同で運営する同施設は冷蔵設備を備え、コールドチェーンを構築。入荷後は予冷庫で保管し、出荷前にもふた開け予冷を行って市場に出す。
合わせて、栽培技術の向上も進める。出荷者の10アール当たり収量は0・2~4トンと差が大きい。JAでは毎年、現地指導会や実績検討会を開き、平均1トンに引き上げる目標だ。
県職員で20年以上アスパラガスを研究し、新品種も開発した、酪農学園大学循環農学類の園田高広教授に専属アドバイザーを依頼。園田教授と共同で蓄積してきた、土壌の成分分析や水分量などのデータも栽培技術を向上させる強みになっている。

JAアスパラガス生産部会を率いる大竹正彦部会長は、パイプハウス28棟、計67アールで「フクキタル」などの品種を栽培。現地指導会では自らビデオカメラを持参し、撮影。妻と情報を共有する他、後進への指導などに生かしている。
大竹部会長は「おいしさの違いを消費者に知ってもらいたい。もっと出荷量を増やし、会津アスパラガスの名前を大消費地に浸透させたい」と語る。