[論説]男女共同参画週間 実態知り対等な起用を
男女共同参画週間は、男女共同参画社会基本法の国民理解を進めようと、同法の公布・施行日である1999年6月23日にちなんで定めている。同基本法は人権の尊重、誰もが対等に活動できる社会制度や慣行への配慮、政策立案・決定への共同参画などを掲げている。今年のキャッチフレーズは「誰でも、どこでも、自分らしく」。
政府が10日に決定した女性版骨太方針では、地方での女性の起業支援と、魅力的な職場づくりを最重点とした。背景には、地方では10、20代の女性の三大都市圏への転出が男性より多く、3年続けて増えていることがある。出身地域を離れる理由は「希望する進学先がない」が最も多く、「やりたい仕事や就職先が少ない」が続いた。
女性の意識は変化している。人生コースの希望は、仕事と家庭の「両立コース」が21年以降はトップとなり、出産を機に一度離職する「再就職コース」を抜いた。「いずれ管理職につきたいと思っている・いた」は20代で3割と、50代の倍に上る。一方で子育て中の職員の4割は、仕事や育児が忙しく、自分に割く時間がないという悩みを持つ。
どんなことにやりがいを感じ、悩みがあるかは、面談やアンケートを通して見えてくる。重要なのは、アンケートを基に改善点を見つけ、柔軟に見直していくこと。それが固定概念や地域のしがらみを払拭し、誰もが働きやすい職場づくりにつながる。
農村現場やJAでも取り組みが始まっており、参考になる。新潟県で夫と米を作る30代女性は、自らのやりがいを求めて、米の包装デザインを手がけ、オンラインショップを立ち上げた。ネットワークを広げながら業績を伸ばしているという。滋賀県のJAグリーン近江は、管理職や理事などに占める女性の割合を3割以上にすることを目指し、研修を開き、制度を改善。風通しの良い職場づくりを進めている。こうした先進事例をもっと広げ、各地でジェンダー平等を推進しよう。
骨太方針では、政策・方針決定過程への女性参画を求めている。JAの総代、理事などの女性割合は24年度がともに11%台と、目標の15%に届いていない。女性役員が一人もいないJAは74JA(15%)に上る。硬直化した組織に未来はない。トップは自らの組織の実態を知り、女性を対等に起用する必要がある。