海水から肥料原料 カリウム回収技術を開発 産総研
原子がジャングルジムのように格子状に並んだ「プルシアンブルー型錯体」のうち、ニッケルと鉄の二つの金属を含む錯体を利用する。他の補助剤などと混ぜて塗膜にした電極を作り、海水に入れて電気を流すと、カリウム(イオン)だけが格子の中に入り込む。
海水には、カリウムと似た性質のナトリウムが豊富に含まれ、カリウムだけを回収することが難しかった。これら二つを混ぜた模擬海水の試験では、処理を3回繰り返すと、肥料原料として十分に利用可能な濃度のカリウムを回収できた。実用化に向け、実際の海水での試験やコスト面の検討をする計画。
カリウムは窒素、リンと並び植物の三大栄養素の一つ。日本はほぼ全量を輸入に依存する。農水省によると、肥料原料の塩化カリウムの輸入量は年間(2023年7月~24年6月)約19万トン。カナダが7割を占める。
(古田島知則)