和歌山県紀の川市の農家、畑中伸介さん(89)は、ブロワー(送風機)を使ってキウイルーツの授粉作業の省力化に取り組んでいる。園地内の道から雌花に対して、送風で授粉できるような位置に雄の枝を接ぎ木した。そうすることで、開花時に雄花にブロワーで風を吹き付け、その内側にある雌花に向けて花粉を飛ばして効率よく授粉させることができる。これまでの一輪ごとの作業がいらなくなり収穫量も変わらない。作業時間も10分の1以下になった。
風の力で授粉できないかと試行錯誤して、約10年前からこの方法にたどりついた。
開花と同時にする授粉作業は、広さ50アールの園地で1週間ほど。この授粉作業をする前は、事前に採取した花粉に増量剤を混ぜて1輪ずつ花にスプレーで噴射して授粉させていた。園地は急斜面で、作業効率も悪かった。
「ブロワーを使うようになり、作業時間は1日3~4時間、これまでの10分の1以下になった。授粉量が多いと実も大きくなる」と畑中さん。メーンの品種「ヘイワード」の収穫量は、10アール当たり3トンという。
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